今回は、自己株式の取得とROEの関係について説明します。
よく企業が自己株式を取得し、市場がそれを評価して株価上昇したなどとニュースになることがあります。
これはいったいどういうことなのでしょうか。
自己株式とは、文字通り自社の株式という意味です。
実質的な意味としては、株式を発行して資金調達する増資の反対であるといえます。
会社が保有する資金を株主へ返還し、以前発行した株式を取得するということは、資金が減少し、資本金も減少するという減資と等しいからです。
では財務諸表上、自己株式を取得した場合どのように表示されるのか見てみましょう。
まずは、自己株式取得前のB/Sです。
資産
現金預金
建物 |
1000万円
5000万円 |
負債
借入金 |
3000万円 |
純資産
資本金
剰余金 |
2000万円
1000万円 |
そして、自己株式を500万円取得したとします。
そうするとB/Sは以下のように表示します。
資産
現金預金
建物 |
500万円
5000万円 |
負債
借入金 |
3000万円 |
純資産
資本金
剰余金
自己株式 |
2000万円
1000万円
▲500万円 |
上で説明したように、自己株式の取得は減資ととらえますので、資本の部からマイナスする形で表示するのです。
さて、ROEとの関係です。
ROE=当期純利益/株主資本
ですから、自己株式の取得により株主資本が減少し、その結果、ROEは上昇します。
つまり、自己株式の取得はすなわちROEの上昇を意味するのです。
数字上の増減はわかりましたが、これはいったい何を意味するのでしょうか。
資金を株主に返還して、利益が減少しては意味がありません。
そうなれば当然ROEは低下します。
資金を株主に返還しても利益が減少しないということは、現在使っていない不要な資金があるということです。
使っていない資金は預金をしているか、本業には関係ない有価証券で運用しているなどが考えられますが、これはあきらかに無駄です。
経済的合理性を考えれば、お金はより利益を生む事業へ回されるべきで、まわすべき事業がないのであればそれは死んだお金といえます。
そういう死んだお金を持っているということを市場は評価しません。
つまり株価が下落します。
不要な資金を自己株取得により株主に返還すれば、必要な資金で効率的に事業を行っている会社という評価を得られ、下落していた株価が上昇するのです。
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