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利益剰余金の資本組み入れによる増資

1.利益剰余金の資本組み入れによる増資とは

増資とは、資本金の額を増加させることをいいます。

増資手続きは、通常、新株発行と引換に、新株を引き受けた者が金銭を会社に払い込むことで、会社の資本金の額が増え、新株を引き受けた者は、株式を取得します。

この金銭の代わりに、車や、土地、建物、機械などの現物資産で払い込むことができますが、これを現物出資といいます。

上記のように、金銭や現物と引換に株式を発行する方法の他、会社の利益剰余金を資本金に振替え、新株を発行しない増資の方法があります。

これを、利益剰余金の資本組み入れといいます。

平成18年の会社法施行後、資本取引損益取引区分の原則から、利益剰余金を資本金へ組み入れることが会社計算規則にて禁止されていました。

しかし、中小企業関連団体等からの要望により、平成21年4月に会社法計算規則が改正され、利益剰余金の資本組み入れが可能となりました

なお、利益剰余金の資本組み入れと同時に、通常の新株発行による増資も可能です。

2.利益剰余金の資本組み入れの例

具体的な例で、利益剰余金の資本組み入れを説明しましょう。

会社を資本金1千万円で設立し、毎年5百万円の利益を3年間産み出した場合、第3期末には、利益の累積である利益剰余金が15百万円となります。

つまり、第3期末時点では、

【貸借対照表】
資本金 10,000,000円
利益剰余金 15,000,000円

となります。

ここで、利益剰余金の全額を資本金に組み入れると、

【貸借対照表】
資本金 25,000,000円
利益剰余金 0円

となります。

発行済株式総数は変わりません。

3.法律上必要な手続

利益剰余金の資本組み入れは、資本金の額が変更しますので、変更登記が必要です。

これにより、登記簿謄本上の資本金の額が変更されます。

まず、利益剰余金を確定させる必要がありますので、決算書を作成し、定時株主総会で承認する必要があります。

この確定した利益剰余金のうち、いくらを資本金に組み入れるかについて、株主総会の普通決議が必要となります。

これらの後、変更登記申請書など必要な書類を作成し、管轄の法務局に登記申請します。

登録免許税は、増加した資本金の額の1000分の7。その額が3万円未満の時は3万円となります。

この他、税務署、県税事務所、市町村役場に対して、資本金の額が変更したことについて異動届出書を提出する必要があります。

4.税法上の注意点

●利益剰余金の資本組み入れの結果、資本金の額が1億円を超えると、以下の税法上の規定により、不利な扱いを受けます。1億円を超えなければ、影響はありません。

・法人税の軽減税率の特例

・留保金課税

・欠損金の繰戻し還付制度

・交際費課税

・外形標準課税

・法人住民税や法人事業税の超過課税

・30万円減価償却資産の特例

●資本金の額が1千万円以上となると、新設法人の消費税の免税を受けられなくなります。

●一方、法人住民税の均等割については、影響を及ぼしません

●また、平成13年度の税制改正以前は、利益剰余金の資本組み入れをした場合は、みなし配当が生じることとなっていましたが、現在は、みなし配当は生じません

以上より、利益剰余金の資本組み入れを行う際は、新設法人で、消費税の免税事業者のメリットがある法人については、1千万円、それ以外の法人は1億円を目安にすると良いでしょう。

なお、利益剰余金の資本組み入れを行った場合は、確定申告時に、特殊な処理が必要ですので、必ず顧問会計事務所と情報共有をするようにしてください

 

4.利益剰余金の資本組み入れ、その他増資に関わるご相談

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